【スポーツ】35歳の関脇嘉風、メンタル勝敗は「1場所12勝」最高齢大関とり手応え

 大相撲は若い世代の台頭が著しく、4横綱が故障を抱える秋場所(10日初日、両国国技館)も荒れる予感が漂う。そんな世代交代の波も何の、35歳にして進化する嘉風(尾車)から目が離せない。

 今場所、35歳5カ月での関脇昇進。昭和以降の生まれでは32歳2カ月で新関脇となった兄弟子の豪風を超えて最高齢、戦後では年長5番目となる。

 記録的な9場所ぶりの返り咲きにも、本人は関脇の記録には「ぴんと来ない」と言う。そして「もう一つ上を目指したいと常々言っている。最年長新大関にこだわりたい。なぜなら誰もできないと思うから」と、34歳0カ月の鏡岩を上回る最高齢(昭和以降)での大関とりへ意気込んだ。

 決して夢物語ではないことは数字が示している。ここ3場所連続で横綱を撃破中だ。小結だった先々場所の夏場所は初日に横綱稀勢の里、3日目に大関豪栄道、4日目に横綱鶴竜と上位食い。先場所の名古屋場所は小結で初日に横綱日馬富士、2日目に大関豪栄道、9日目に大関高安から白星を挙げている。

 突き、押しをベースにしながら、スピードでかく乱する。幕内上位のパワー自慢の力士にはつかまえるのが難しい相手。今や優勝への一つの関門と言っていい存在である。

 昨年1月の初場所で初めて関脇に昇進した。その時も大関とりを宣言したが、1年半前とは全く違う。

 「前回(関脇)とは気持ちの部分で自分でも成長。横綱、大関と当たっても自分の気持ちをコントロールして自分の力が出せる。(総当たりの)横綱、大関にも全敗はしていない。そういう手応えはある」と力を込めた。

 年齢を重ねた上での成長の要因には「メンタルトレーニング」を挙げた。きっかけは3年前、14年秋場所。2横綱2大関を倒し6勝3敗としてから5連敗。「平幕に負けたら恥ずかしい」との思いが体の動きに影響した。

 そこからメンタルの重要性に気付き、専門家に師事。瞑想、音楽を聴くことも取り入れるなど意識改革した。

 「自分と向き合う時間を作って、力士嘉風として、どうすれば力を出せるのか、感じるようにして取り組んできた。(先場所は)4連敗した後に5連勝した。ガタガタいかず持ち直して9勝。気持ちがコントロールできた」と胸を張った。

 20代の若手が突き上げてくる中、ベテランは「『若手の壁になりたい』というのが模範解答かもしれないけどね。(若手が)上がってきたのが感じるけど、現実に起こっていることの一つで特にない。自分は自分。若いからベテランだからと考えていない」とどっしりと構えた。

 “メンタルでの勝敗”というのがあり、実際の勝敗とは関係なしに、しっかりと勝負の心構えを作って臨んだ取組の勝敗を付けている。その結果は「1場所12勝している」。

 大関昇進の目安は三役3場所連続で33勝以上。まずは2桁勝利が最低ノルマになる。「大関までの距離はグッと縮まっている。稽古量で言えば今は10年前の10分の1。何が変わったかというとメンタルしかない。今は自分は100パーセントの力を出せるときと思う」。現役人生で今が最強。秋は嘉風が吹き荒れる。(デイリースポーツ・荒木 司)

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