【野球】巨人・ゲレーロ爆発のカギ握る“操縦法”
巨人は高橋由伸監督が就任して3年目。4年ぶりのV奪回へ、中日から4番候補としてゲレーロを獲得した。来日1年目で35発を放ったセ・リーグ本塁打王。得点力不足に悩むチームにとって、これ以上の“起爆剤”はいないだろう。
他球団からは「ゲレーロは1年目のようにはいかないのではないか」という声も聞かれる。「内角高め」や「速球」に弱点があるとされており、昨年以上に厳しくマークされるという見方をする関係者は少なくない。
ただ、「内角高め」をうまくさばける選手はひと握り。甘く入ってきた失投をミスショットせず振り抜けるか、ここが重要だろう。ゲレーロは昨季、ヤクルト・小川や広島・薮田の高め直球を本塁打にしており、9月24日の広島戦(ナゴヤドーム)ではブレイシアが投じた150キロの高めツーシームを中堅左へ運んでいる。
球種別でも偏った傾向は見られない。昨季は直球を・304(204打数62安打)の好打率。データ上では速球が「弱点」といえるほどの根拠はあまり出てこない。
過去を振り返っても、本塁打王に輝いたほどの助っ人が“2年目のジンクス”にぶち当たる確率はさほど高くない。横浜・ウッズは来日1年目から2年連続で本塁打王。中日・ブランコも1年目に39本、2年目も32本塁打をマークした。ヤクルト・バレンティンも初年度から2年連続で31発。西武・メヒアは前年から7本減ながら、27本塁打を放った。
ゲレーロに故障以外の不安材料があるとするならば、モチベーションの問題だろう。巨人入団が決まった際は「チームをリーグ優勝、日本シリーズ制覇へと導くことができるように全力を尽くします」という“優等生”コメントを発表。ただ、大リーグのマイナー時代にチームメートとトラブルを起こして耳をかみちぎられるなど、気性の荒さは有名だ。
2年総額8億円の契約。球界では複数年契約を結んだばかりの助っ人が、翌年「働かない」ケースは少なくない。巨人も何度となく泣かされてきただけに、不安がちらつく。
最近では16年、マイコラスがキャンプで右肩の不安を訴え、病院での検査に異常はなかったものの、復帰したのは6月下旬。広島の独走を許す一因となった。この年は正二塁手のクルーズもモチベーションの波が激しく、首脳陣と衝突。CS直前に2軍降格となる事態となった。マイコラス、クルーズとも2年契約の1年目だった。
外国人選手とのつまらないトラブルを避けようと、球団フロントもあらゆる手を尽くしている。2軍降格でプライドが傷つく助っ人も少なくないため、契約時にファーム調整での重要性も説明。シーズン中は国際部が選手と首脳陣の間に入ってコミュニケーションを図るなど、精神面のフォローに努める。
チームにとって、30発以上を計算できる唯一の存在。替えの効かない選手だけに、うまく“操縦”して波に乗せることが重要なテーマとなりそうだ。(デイリースポーツ・佐藤啓)