【野球】内海が脇谷に告げた「もうちょっとしがみついてやったろかな」

 今季まで15年間巨人でプレーし、長年エースを担ってきた内海哲也投手(36)が来季からFA入団する炭谷銀仁朗捕手(31)の人的補償選手として西武へ入団することが20日に決まった。21日の入団会見では「ライオンズでもう一花咲かせたい。2桁勝利を目指す」と口にした。

 近年はケガに苦しみながら、今季は大きな故障も無く5勝を挙げ、7月31日のDeNA戦では4年ぶりの完封勝利をマークした。

 復肩への階段を着実にのぼる途上の内海は「1回失敗したら、2軍に逆戻りだと…。それくらい後が無いと思って毎試合、投げてますよ」。一戦、一戦決意を秘めてマウンドへと向かっていた。

 シーズン終盤。同じく西武へ人的補償選手として移籍し、その後FAで巨人に再び戻り、今季限りでの現役引退を決めた脇谷とのジャイアンツ球場で交わしていたやりとりが印象的だった。

 内海「おじさん、辞めるの?」

 脇谷「おじさんはもう辞めるよ。おじさんはまだやるの?」

 内海「おじさんはもうちょっとしがみついてやったろかなと」

 その言葉に、冷え切ることの無い勝負師としてのプライドがにじみでていた。

 チームの勝利に貢献したい。それだけに来季にかける思いは強かった。10月の秋季練習時には「やる気は満々ですよ」と笑顔で語っていた左腕。来季からは自身がエース時の指揮官だった原監督が指揮を執ることもあり「現役のほとんどは原監督に教わっている。集大成、最後しっかり活躍できるように1勝でも多く勝てる体作りをしていきたい」と意気込んでいた。

 ただ、来季からはオレンジのユニホームからブルーのユニホームを身にまとうこととなった。背番号は15年間身につけた「26」から「27」へ。「1つでも上にという気持ちで選びました」と決して後ろを振り向くそぶりは全く無かった。「もうちょっとしがみついて」の言葉通り、ベテランもこれからの現役生活が10年、20年続くとの認識は無いだろう。長年磨きをかけてきた技をブラッシュアップし、集大成となる投球を新天地で披露させたい。(デイリースポーツ・関谷文哉)

 

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