【野球】ソフトバンク ドラフト大成功?光るルーキーたちの存在感

 今年のソフトバンクは例年以上にルーキーたちが存在感を示している。

 キャンプA組には1位入団の甲斐野をはじめ、2位・杉山、4位・板東、7位・奥村と4投手がスタートから名を連ねている。甲斐野と杉山が実戦形式で早くも150キロ超をマークしてアピールすれば、板東は「この中で一番実戦向き」(倉野コーチ)と評価が高く、奥村も躍動感あふれる投球で紅白戦では内川を3球三振に仕留めた。

 昨季限りで攝津(引退)、五十嵐や寺原(いずれもヤクルト)ら実績組がチームを去った。また、サファテは手術明けで未知数。岩嵜や加治屋、石川がリハビリ組にいるなど盤石とは言えない布陣なだけに、彼らがこのまま開幕一軍まで生き残ることも十分考えられる。

 しかし、ドラフトはそれで成功だったと言えるのか。

 そもそもソフトバンクは野手を補強ポイントに挙げていた。内川が今年37歳、松田が36歳など攻撃陣の高齢化が目立ち始めた。振り返れば、ドラフトでいの一番に指名したのは遊撃手の小園(広島)だった。だが4球団による競合で外し、次いで外野手の辰己(楽天)に切り替えたがまたも抽選で敗れた。その結果、甲斐野を「外れ外れ1位」で獲得したのだった。

 支配下ドラフトで指名したのは高卒野手2名。どちらもB組でキャンプを送っているのだが、面白いのが3位・野村大樹だ。早実では1学年上に清宮(日本ハム)がいた中で下級生から4番を打ち、通算68本塁打を放った右打者である。この男、とにかく「練習の虫」なのだ。球団の若鷹寮に住まいを移した際に放った言葉が強烈だった。

 「室内練習場がすぐ隣にあって、一人で練習できる打撃マシンもある。タダのバッティングセンターが家の隣にあるのと同じ。これで活躍出来なかったら言い訳できない」

 自分で時間を作ってはバットを振る。1月、朝早起きしてまずは打撃。新人合同トレ後も自主練習。そして2月のキャンプでも、先輩4人と同部屋だが、誰も居ないと見るや部屋の中でも素振りを始めるのだ。

 「力強い打撃でアピールをしていかないと」と意気込む中で、キャンプはいよいよ実戦形式が入ってきた。初めての紅白戦は「5番三塁」で出場して4打数2安打。翌日もヒットを放った。そして17日、社会人セガサミーとの一戦では4打数4安打と大暴れした。「1試合(打率)5割が目標です」。ここまで言いきれる高卒新人はなかなか居ない。

 即戦力投手陣に加え、野村も台頭するとなれば史上稀にみる大成功ドラフトとなる。答えが出るのは数年後か。いや、もしかしたら今年中に明らかになるかもしれない。(デイリースポーツ特約記者・田尻耕太郎)

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