【野球】広島・高橋樹也“勝負の5年目”速球派揃う中継ぎ陣生き残りへ、制球力で評価上昇
広島の高橋樹也投手(22)が春季キャンプで評価を上げている。実戦登板でアピールを重ねている左腕だが、昨年は1軍登板なしに終わるなど悔しい1年を過ごした。今季で5年目となり、危機感を募らせながらも持ち味をマウンドで発揮している高橋樹。持ち前の制球力に磨きをかけながら首脳陣へアピールを続け、開幕1軍、そして飛躍のシーズンを目指していく。
明るい表情が充実の日々を物語っていた。沖縄二次キャンプでは、14日のロッテとの練習試合に3番手で登板し、2回を投げ1安打3奪三振で無失点とアピール。19日の日本ハムとの練習試合でも1回を無失点に封じる好投を披露し、1軍生き残りへ結果を出し続けている。
「今はすごくいい状態。投げるイメージというのは忘れないように、少ない球数でもブルペンに入ろうと思っている」と高橋樹。傾斜を利用して投球することでフォームを体に染みこませ、打者相手の投球を常に描いていることが、好調の要因だ。
オフ期間に取り組んできたストレッチの継続など、技術面の取り組みが奏功している。だが5年目を迎える左腕はメンタル面の変化を口にする。「ボール先行になっても、フォアボールならどうしようと考えず、攻めの姿勢で」と思い切りのいい投球で打者と対戦。考え過ぎてさらに甘くなるパターンもあるだけに、強気のマウンドさばきが好結果をもたらしている。沢崎投手コーチも「投げるたびにスピードが上がっているし、いいモノを見せてくれている。持っているモノを出せている」と高評価を口にする。
プロ2年目の17年には10試合に登板。翌年も9試合に登板し、プロ初セーブをマークした。だが昨季は1軍出場がなくシーズンが終了。「結果を出すためには何が必要か。準備というのは大事と思った」。心技体をしっかりと整えた上でマウンドに上がれるよう、心掛けている。
チームの中継ぎ事情は、フランスアにDJ・ジョンソン、スコットら外国人の速球投手が多い。その中でどのように差別化を図り、自らの存在価値を高めていくか。「球速はないので、キレとコントロールで勝負したい」と持ち味をマウンドで発揮することに意気込んだ。
1度の失敗が致命傷となる立場。緊張感がある中でも「1球で1軍に居られなくなる怖さはあるけど、今は打者と勝負できている。抑えられたら楽しい」。重圧など関係なしといったように勝負師としての顔をのぞかせた。
ドラフト1位の森下に同2位の宇草、5位の石原貴とは同い年。キャンプ中に何度か食事をともにして「みんなで1軍に居たいね」と、1軍舞台でそれぞれが輝く日を思い描いた。「同級生も居て、後がない」と高橋樹。5年目左腕は今季へ懸ける思いを秘め、開幕1軍切符をつかむ。(デイリースポーツ・向亮祐)