【ゴルフ】黄金世代10人目初Vの植竹希望 レジェンド森口祐子がほれ込む逸材

 まさに手に汗握る熱戦だった。前週の女子ゴルフ、KKT杯バンテリン・レディース(15~17日、熊本空港CC)はプロ6年目の植竹希望(23)=サーフビバレッジ=が4人による6ホール、史上最長2時間に及ぶ壮絶なプレーオフを制した。1998年度生まれの黄金世代10人目となるツアー初優勝を飾り、最高の笑顔がはじけた。

 優勝会見では「本当にうれしいの一言に尽きます。ずっと勝てなくて、長かったので、やっと黄金世代10人目になれて良かった」と2017年のプロ転向から55試合目での初勝利を感無量の表情で振り返った。また、母子家庭で苦しい経済事情にもかかわらず、ずっと支えくれた母・和美さん(51)、最も身近な応援団長としてエールを送り続けてくれた、プロテスト合格を目指す2歳下の妹・愛海(なるみ)さん(21)と家族への感謝の言葉を並べた。

 そしてもう一人、植竹が感謝の思いを口にした人物がいる。ツアー通算41勝の森口祐子だ。昨年9月の住友生命レディース東海クラシックで優勝争いを演じて以来、折に触れて連絡をもらうようになった。最終日前夜も「他人のゴルフは自分の力では変えられない。自分のことだけに集中してプレーしなさい」という助言がメールで届いた。「他の人のスコアは見ず、自分が一打でも減らそうと集中できた」と大先輩からの金言を胸に激戦を勝ち切った。

 永久シードの森口も初優勝まで36試合要した経験を持つ。「森口さんも最初の1勝するまでにたくさん悔しい思いをしてきたから、我慢してずっとコツコツやっていれば大丈夫と言われた。それからたくさん連絡をくださるようになった」と“師弟”関係を明かす。森口は植竹のキャディーに「私は植竹さんのストーカーなので」と伝えているという。植竹は「私なんかが連絡を頂いていいのかな」と恐縮するが、レジェンドの大先輩が声を掛けずにはいられないほどの逸材であるということだ。

 植竹はレギュラーツアーでの活躍を目指す女子ゴルファーたちが戦う登竜門的なゴルフ番組に昨年まで出演していた。解説の男子プロからも「あなたはここにいるレベルの選手ではない」と格の違いを指摘されていた。当然、見る人が見れば一目で分かるのだ。

 会見で今後の目標を問われると「2勝目を挙げること。1勝で終わったと言われるのが一番悔しい」と即答した。「次に勝つチャンスがあれば、(サンデー)バックナインでノーボギーで上がれたらいい。欲張りですけど」とすぐに次の勝利を見据えた。

 さらに将来の目標も明確に定めている。「まだ国内で初優勝したばかりですが、海外で活躍している(同世代の)畑岡奈紗ちゃん、渋野日向子ちゃんに早く追いつけるように頑張ろうという気持ちが強い。いつ死ぬか分からないので、死ぬ前に後悔せずやりたいことを全部やってから生涯を終えたい。若いうちにチャレンジしたい。海外4大メジャー全部出たい」と広がる夢に目を輝かせた。

 最終日最終組は中3でツアー初出場した13年スタジオアリス女子でいきなり経験(結果は19位)しているが、プロ転向後は今回が3度目だった。第2ラウンド終了後には「(最終日最終組でも)だいぶ落ち着いてできるようになってきた。あとは1回優勝できたら、優勝の仕方が分かったらもっと気持ち的に楽にゴルフができるのではないかなと思う」と話していた。産みの苦しみを味わい、“三度目の正直”で勝ち方を覚えた。あの力感あふれる鋭いスイングはギャラリーを魅了する。殻を破った大器のこの先が楽しみでならない。(デイリースポーツ・斉藤章平)

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