独特風味&香ばしさの燻製料理 大阪・東横堀川の立ち飲み店「wapiti」
大阪最旬エリアの「東横堀川」で燻製(くんせい)がメインのおしゃれな立ち飲み店を見つけた。うらやましいほど仲のいい夫婦が切り盛りする「wapiti」がそれ。北米産の大鹿「ワピチ」が屋号の由来だそうで、とにかく居心地がいい空間だ。
たまには冒険をしてみるもんだ。「おやじには似合わん店かな」と思いつつ、のぞいてみると、それは間違いだとすぐに分かった。気の利いたアテがたくさんあり、ドリンクも充実。こんな心地いい店はそうそうない。気分は早くも常連客だ。
オープンは2017年8月。埼玉生まれの秋谷直弘さん(40)と千葉育ちの妻・とも恵さん(40)が学生時代に東京で知り合い、11年前に直弘さんが大阪に転勤。とも恵さんも後を追った。北浜にある立ち飲みの聖地「ひらやま」を知ったことで人生が劇的に変わる。
「気に入っちゃって週に6回ほど通ってましたね。そこから立ち飲み巡り。結婚して、やがて店を持ちたいと思うようになり、嫁さんに『やるよ』って聞いたら『いいね』って」
善は急げと大阪・天満の燻製バル「けむパー」で燻製技術を学び、北浜の名店「ジィバッカーノ」や「エスカペ」で経営に必要なノウハウを身につけた。最終的には100軒近くの物件を探し、この場所にピンと来た。
店名のワピチは北米に生息する大鹿のこと。かつて、八景島シーパラダイスや城崎マリンワールドでイルカのトレーナーをしていた動物好きのとも恵さんが「何か動物の名前を付けようとして思いついた」そうだ。
メニューは多すぎて迷ったが、燻製盛り合わせ(500円~)をオーダー。燻製キッシュ(590円)も。どれも本来の味に燻製独特の風味が加わり、何とも香ばしい。
ドリンク(490円~)も豊富。秋谷さんは元々スコッチウイスキーが好きで、最近はジンにはまっている。焼酎、日本酒も備え、ワインも寝かせてあった。凍らせたレモンやグレープフルーツがたっぷり入ったサワー(490円)は見た目も鮮やかだった。
こだわりは内装にも通じている。壁にはアンティークでちょっとシュールな作品が飾られてあった。L字型のカウンターは馬7頭分を使っての革張りだ。そんなこともあってか常連客にはヘアメイク、版画家など芸術系の人も多いという。
「燻製には高温と低温があって、チョコレートやマヨネーズは低温で。燻製のチップは桜、ウイスキーのオーク、ヒッコリー、栗が使われてます」と秋谷さん。いいことを聞いた。まず、そんなことはないと思うけれど、若い女性に万が一「どこか、いいお店に連れてって」と言われたら東横堀川のこの店へ行こう。燻製のうんちくを披露したくなった。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)