短いスカートにドキドキ
心にはずんずん迫る
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女優の香里奈さんを最前線で取材する三橋あずみ記者(右から2人目) |
朝のテレビのワイドショー。壁一面に張られたスポーツ紙の紙面。入社するまでは、何気なく眺めていただけだったけれど…。
「次は、デイリースポーツの紙面から。タレントの○○が都内でイベントを行い…」
「あ、これ。私が書いた記事だ」
今ではそんなことが起きるようになった。自分は芸能記者なのだということを感じる、一つの瞬間です。
芸能社会部では、芸能人が登場するイベントや会見、ライブに赴き取材を行います。だいたい2、3本の現場をまわるのが1日の動き。また著名人の死去や逮捕など、突発的なニュース・事件が発生した時にはすぐに対応し、現場で張り込み・聞き込みをしたりします。社会部も兼ねているので、社会的な大事件の取材を行うことも。
配属初めはやはり「テレビに出ている人」の取材を自分がするということに過剰な緊張感を持っていました。4月、先輩について一番初めに行った現場で、神田うのの足の細長さに「同じ人間じゃない!」と“芸能界”を実感したのは忘れられません。ですが、今ではこの世界の眩しさに目も慣れてきているように感じます。
エンターテインメント性の強い芸能の報道では「速さ」「正確さ」はもちろんですが、人の興味をひく「面白さ」がとても重要。スポーツに勝ち負けがあるのと違い、芸能イベントでははっきりとしたトピックが無い事も。その中で、いかに面白いニュースを抽出し興味深い記事を書けるか。読者の目線に立って考え抜きます。“おバカ”と呼ばれるタレントが出てきたら耳をこらして発言に注目、セクシーなアイドルが出てきたら、同性ですがスカート丈にドキドキだってします。
そして、芸能ニュースはきっと何よりも取材対象の「人間性」に深く迫るもの。いかにその「人」を伝え、密度の濃い記事を書けるか。人の核心に迫るのはとても難しい事だと日々痛感していますが、自分の飛ばした質問に対し、対象の人間性が深く表れた答えや、逆に意外な一面を見せた答えが返ってきた時は、何ともうれしい気持ちになるのです。
そういったものの成果が記事となり、紙面やネットを通して読者へ届けられる。冒頭にも書いたような場面で自分の記事が取り上げられていたり、インターネットでは記事に対して多種多様のコメントがついていたりもします。自分から発信されたものが広く社会に伝わり、話題になっているという実感は、次の取材への責任とやる気を起こさせる発奮材料です。
−なんて偉そうな事を書いてはいますが、こんなのは芸能記者としてはきっと“序の口”の仕事。このきらびやかな世界の深い所、「スクープ」と呼ばれるものが潜む場所に、私はまだ足の親指の先も突っ込めていないでしょう。時代の先端を走る人たちに向き合って。見た目は…ムリですが、心にはずんずんと迫っていける記者になりたい。そんなことを考える今日このごろです。
【2008年4月入社・東京本社編集局芸能社会部配属】 |