デイリーと言えば…カープ!
連日の1面で得る達成感
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広島・東出を直撃取材する西岡誠記者(右) |
デイリーから連想することと言えば …。一番に思い浮かべるのは“タイガース”だろう。しかし、広島では違う。デイリーと言えば“カープ”だ。
広島県、山口県と島根県の一部で発行されている本紙広島版の1面と中面は毎日、カープのニュースを取り扱う。全国でおなじみの題字のトラの尻尾も、広島では「鯉のぼり」。シーズン中にカープが勝てば赤く跳ねる。
記者がその広島支社に異動となったのは2007年1月。配属はカープ担当だった。記者は小学校から野球一筋。高校時代、後にプロ入りする同級生を取材する新聞記者を見て、この仕事を志すようになった。一番の理由は「野球の感動、興奮、楽しさを伝えたい」。その思いがかなった喜びは今でも忘れていない。
2年間を振り返ってみると苦労は枚挙にいとまがない。膨大な仕事量にも戸惑い、理想と現実のギャップもあった。毎日、勉強しながら原稿を書く。異動当時のプレッシャーは筆舌に尽くしがたい。
今でもシーズン中は締め切り時間に苦しむ。ナイターで試合が長引いても、延長で試合が終わっていなくても、必ず1面は空いている。限られた取材時間の中で必要なコメントを集めて原稿を書く。キーボードを叩いているときも記録、固有名詞、数字、表現など気を配ることは多い。
「質」も問われる。試合展開を追うだけならテレビのニュースと同じ。ヒーローの人間性や活躍の裏側など深く掘り下げた内容が必要となる。多くの選手、関係者から聞いた話をどのように散りばめ、ストーリーを構成するかも考える。原稿を書き終えた時、空調が効いたドーム球場の記者席でもじっとりと汗をかいていることもざらだ。
また、オフは日々のネタ探しに頭を悩ませる。どこで誰を取材するのかも自由。読者が求める内容を探し出すことは想像以上に難しい。同じ「ネタ」でもそれぞれ見方が違う。他紙を見て「こういう切り口もあるのか」と勉強することも多い。シーズン中よりもセンスが問われるオフは、違った意味のプレッシャーが襲ってくる。
苦労することばかりを挙げてしまったが、それでもこの仕事の「達成感」は何事にも代え難い。自分が書いた原稿が1面を飾っているのを見たときには必ず活力が生まれてくる。また、わずか2年間で「前田智徳の2000本安打」、「広島市民球場最終戦」など球史に残る1日にも立ち会えた。記者の醍醐味をまだ感じ切れていないと思うと、向上心が刺激される。
今でも壁にぶつかり、取材相手にしかられることも多々ある。だが、デイリースポーツの記者の中で1面を書けるのは本版、広島版の2人だけ。責任感と大好きな野球に関わることができる幸せを忘れなければ、どんな困難も乗り越えられる。
【2004年4月入社・大阪本社編集局整理部配属。07年1月広島支社編集部に異動して広島カープ担当】 |