難しく楽しい…パズルみたいな戯曲の翻訳作業
「ニッポン愛&Sarah、s eye=第21回」
「Jolabokaflod」という言葉は聞いたことありますか?
私もつい最近知りました。アイスランド語から直訳すると「クリスマスの本の洪水」ですが、クリスマスイブに夜更かし読書を楽しむということだそうです。今年はスマホを見る時間が多くなってしまったと反省していますし、ちょうど本を読む頻度を増やそうと思っていましたので、今年はアイスランドから見習おうと。
手に取った本は?
1冊目は柴田元幸さんの「翻訳教室」。「東大文学部人気講義を載録。9つの英語作品をどう訳すか、著者は単語一つまで学生と討論し、講義を進める。翻訳という知的作業の追体験から出会う、英語と日本語の特性や違い、文体の意味、諸説の魅力とは。」(解説・岸本佐知子)
外国語から自分の母国語に訳すのは基本ですが、たまには逆の視点から翻訳作業を見ることも勉強になると思いますし、実際はこうやって色々学んできました。川村毅作品戯曲プロデュースカンパニー「T-Factory」の東京/NY往復書簡企画に関わらせて頂いています。
企画概要を簡単に説明しますと、東京の劇作家・演出家川村毅と、ニューヨークの劇作家・演出家ジョン・ジェスランが、戯曲を書き繋いでいき、3年間を掛けて一つの作品を創り上げようとする試みです。
つまり、ジェスランさんが英語で戯曲の前半を英語で書き、それが日本語に訳され、川村さんがその和訳を受けて日本語で後半を書き、それが英語に訳されるという流れですね。私が役者の一人で、更にその翻訳を担当させていただきましたが、難しく楽しいパズルみたいな作業ですね。
そしてワークショップ開始から、バイリンガルな役者さんと話し合いながら、細かいニュアンスを付けたり英語版日本語版とも直していきました。2017年のワークショップで戯曲が完成されましたが、また機会あればその翻訳作業にチャレンジしたいと思っています。
2冊目は筒井康隆さんの「残像に口紅を」。
実は日本語で小説を読んだことないです。敬語とビジネスマナーの本とか、台本とか、歴史の本とか、そういったものはいっぱい読んできましたが、数学を勉強しているかのようです。「はい、この漢字ね。問題ない。おっと、この読みが分からない」と、自分の理解力を確認しながらページをめくっていただけ。試験を受けている感覚ですね。でも今の私なら、小説の世界に入り込んで作家さんと楽しく旅できると。
さて、2018年はどこへ旅立とうかな?
◆サラ・マクドナルド(Sarah Macdonald)1990年8月12日、米マサチューセッツ州生まれの27歳。14年にNHK連続テレビ小説「花子とアン」でデビュー。女優、情報番組などで活躍中。
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