【夏の選手権100回大会企画7】福島の高校野球

 甲子園では、東北6県のチームが上位へ進出するたびに「優勝旗がついに白河の関を越えるのか…」と話題になる。その「白河の関」は、福島県と栃木県の県境にある「白河関跡」。福島県勢も1度、日本一に近づいたことがあった。

 1971年の第53回大会で、県立の磐城が快進撃を見せた。身長165センチで「小さな大投手」と称されたエース・田村隆寿は1回戦から3試合連続完封。福島県勢として初めて8強に進出すると、勢いに乗って決勝へ進出した。

 田村は決勝・桐蔭学園戦も6回まで無失点の好投を見せた。しかし、7回に1点を奪われ、大会34イニング目にして初失点。この1点だけで敗れて、準優勝に終わった。

 1980年代からは磐城、福島商に代わって、学法石川が福島の高校野球をけん引した。

 91年の第73回大会は、エース・川越英隆(元ロッテ)が、1回戦で智弁和歌山を相手に4安打1失点で完投した。

 2000年以降は聖光学院が台頭する。初出場した01年の第83回大会1回戦は、明豊に0-20という大敗を喫した。この経験をバネに常連校へと成長。2度目の出場となった04年の第86回大会は、県勢の9年連続初戦敗退を止めた。

 07年からは11年連続で出場中。最近10年で8強進出が4度と結果を残しており、近い将来の「白河の関越え」を目指す。

 福島県勢では、双葉も甲子園で印象に残る試合を見せている。73年の第55回大会では1回戦で優勝する広島商に0-12の完敗を喫した。

 それでも80年の第62回大会は、川内実(現れいめい)との1回戦で、2年生4番・西山竜二が逆転2ランを放って甲子園初勝利を挙げた。

 94年の第76回大会では、2回戦・市和歌山商戦で9回に1点を先制し、田中貴章が完封した。

 しかし、これが最後の甲子園となってしまう。同校は11年の東日本大震災による原発事故の影響で、17年3月をもって休校となっている。

 ◆福島県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・聖光学院14回

2位・学法石川9回

3位・福島商8回

4位・磐城7回

4位・日大東北7回

【勝利数ベスト5】

1位・聖光学院19勝

2位・磐城7勝

3位・学法石川3勝

4位・福島商2勝

4位・双葉2勝

【最高成績】準優勝・磐城(1971年)

【通算成績】

91試合

35勝56敗

勝率・385

【名監督】

宗像忠典…元日大東北監督。社会人で現役を引退後、1987年に母校の監督へ就任。96年から98年までの3連覇など、夏6回の甲子園へ導いた。

田村隆寿…選手としては磐城を1971年に準優勝に導いた。監督としても安積商、磐城を3回、甲子園へ導いた。

斎藤智也…1999年に聖光学院の監督に就任し、春夏通算19回の甲子園へ出場。現在、夏の甲子園は11年連続で出場中。

 ◆デイリー独断!福島県の高校を卒業した選手のベストナイン

【先発】学法石川・遠藤一彦(元大洋)

【中継ぎ】学法石川・川越英隆(元ロッテ)

【抑え】福島商・古溝克之(元日本ハム)

【捕手】日大東北・吉田康夫(元阪神)

【一塁手】安積商(現帝京安積)・中畑清(元巨人)

【二塁手】田村・矢部祐一(元大洋)

【三塁手】内郷(現いわき総合)・矢部徳美(元南海)

【遊撃手】内郷・柳田利夫(元南海)

【外野手】学法石川・松井達徳(元阪神)、学法石川・諸積兼司(元ロッテ)、相馬・鈴木尚広(元巨人)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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