【選手権100回大会企画34】広島の高校野球

 広島県は史上2位となる夏6回の優勝を誇る広島商と、春3回の優勝、夏4回の準優勝を誇る広陵が、2強を形成していた。

 広島商は堅実な守備と、バントなど小技を絡めた攻撃で一時代を築いた。

 戦前に3回優勝。戦後初優勝となった1957年の第39回大会は、決勝・法政二戦で戦争で被爆した佐々木明三が決勝打。被爆地の球児が、戦後12年目に聖地で見せた活躍は感動を呼んだ。

 73年の第55回大会は、佃正樹-達川光男(元広島)のバッテリーを中心に勝ち上がって、決勝は静岡と対戦した。同点の九回1死満塁で、途中出場の大利裕二がスリーバントスクイズに成功。劇的なサヨナラ勝ちで優勝を決めた。

 しかし、88年の第70回大会の優勝を最後に低迷期に入る。16年ぶりの出場となった2004年の第86回大会は、エースで4番・岩本貴裕(広島)を擁したが初戦敗退だった。

 広島商のライバル広陵は、夏の決勝で何度も涙を飲んだ。戦後初の決勝進出となった1967年の第49回大会は、習志野に1-7で完敗した。

 3度目の決勝となった2007年の第87回大会は悲劇的な展開だった。4点リードの八回。エース・野村祐輔(広島)が1死満塁で押し出し四球を与え、続く副島浩史に逆転満塁本塁打を浴びた。

 17年の第99回大会では、1大会6本塁打の大会記録を作った中村奨成(広島)を中心に、4度目の決勝へ進んだが、花咲徳栄に屈した。

 広陵は夏の優勝こそないが、近年も安定した成績を残している。春夏通算45回の甲子園出場は、広島商の同43回を抜いて県内トップ。現在は広島新庄、如水館などと広島の高校野球をけん引する存在となっている。

 如水館は、広島商を73年全国制覇へ導いた迫田穆成監督の下、力をつけた。

 2009年の第91回大会は1回戦・高知戦が2度も降雨ノーゲーム。ともにリードしていたが、3試合目に敗れる不運があった。

 それでも2011年の第93回大会は、3試合連続で延長戦に勝利。3回戦・能代商戦は延長十二回に勝ち越されたが、直後に逆転サヨナラ勝ち。同校最高成績となる8強へ進んだ。

 野球が盛んな広島には強豪が多い。崇徳は1976年のセンバツでエース・黒田真二(元ヤクルト)の奮闘で優勝。春夏連覇を狙った同年の第58回大会は、3回戦で“サッシー”こと酒井圭一(元ヤクルト)を擁する海星に投手戦を展開したが、打線が抑え込まれて0-1で敗れた。

 90年の第72回大会では、初出場の山陽は、2回戦・葛生戦で3点を追う九回に逆転サヨナラ勝ち。4強まで勝ち上がり、“ミラクル山陽”と呼ばれた。

 92年の第74回大会で8強に進出した広島工も健在。2012年の第94回大会では20年ぶりの夏の甲子園出場を果たしている。

 近年では広島商を率いた迫田守昭監督の下、広島新庄も力をつけており、16年の第98回大会では左腕エース・堀瑞輝(日本ハム)を擁して3回戦まで進んでいる。

 ◆広島県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・広陵22回

1位・広島商22回

3位・如水館7回

4位・呉港6回

5位・広島工5回

【勝利数ベスト5】

1位・広島商43勝

2位・広陵34勝

3位・呉港11勝

4位・広島工6勝

5位・如水館5勝

【最高成績】

優勝・広島商(6回=1924年、1929年、1930年、1957年、1973年、1988年)、呉港(1934年)

【通算成績】

194試合

119勝74敗1分

勝率・617

【主な監督】

 迫田穆成…広島商の元監督で、現在は如水館監督。両校で春夏通算14回の甲子園に出場し、通算22勝13敗。広島商では73年の第55回大会で優勝へ導いた。

迫田守昭…広島商の元監督で、現在は広島新庄監督。両校で春夏通算5回の甲子園へ出場。

 中井哲之…広陵監督。春夏通算17回の甲子園に出場し、通算32勝15敗1分。春は2度の優勝、夏は2度の準優勝へ導いている。

 ◆デイリー独断!広島の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン

【先発】福山電波工(現近大福山)・村田兆治(元ロッテ)

【中継ぎ】広島商・山本和行(元阪神)

【抑え】広島工・高津臣吾(元ヤクルト)

【捕手】広島商・達川光男(元広島)

【一塁手】広島工・新井貴浩(広島)

【二塁手】崇徳・山崎隆造(元広島)

【三塁手】呉港・藤村富美男(元阪神)

【遊撃手】広陵・二岡智宏(元日本ハム)

【外野手】大竹・広瀬叔功(元南海)、廿日市・山本浩二(元広島)、広陵・金本知憲(元阪神)

【指名打者】松本商(現瀬戸内)・張本勲(元巨人)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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