「天皇賞（春）・Ｇ１」（２９日、京都）

　舞台が近づくにつれて大きくなる期待と不安。そんな周囲の声をよそに現役最強馬は静かに準備を整えた。決戦前日の２８日、４冠馬オルフェーヴルは角馬場で入念なウォーミングアップを施してから、栗東坂路へと移動した。

　弾むようなステップで序盤からゆったりとチップを駆け上がり、４Ｆ６５秒３‐４７秒１‐１５秒１。落ち着き払った姿で軽めながらも強じんなバネを感じさせるのが、さすがは超一流馬。「しまいはちょろっと。予定通りですね」と川合助手は順調ぶりをアピールする。

　競馬史に残る前走の阪神大賞典での逸走劇。だが、有意義な時間を過ごしたことでひと回り成長したことは間違いない。「調教再審査でリラックスできた。中間の調教では他厩舎の馬と馬体が並ぶときがあったが、それでもムキになるところがなかった」と実感する。

　今回は返し馬までメンコを二重に着用し、ゲート裏で一枚外すなどの策も施す。「体は維持しているし、ベストの状態でいけると思う。あとは池添騎手に任せます」。信頼を深めた人馬が、最高のパフォーマンスで伝統の盾を手にする。