「安田記念・Ｇ１」（３日、東京）

　６年ぶりの香港馬Ｖへラッキーナインに“追い風”が吹き始めた。１日は当初の予定通り、プレブルを背に東京の芝へ登場。４〜３Ｆ中間から加速を開始すると、水曜の追い切り時よりも明らかに力感に富んだ脚さばきでゴールを駆け抜けた。

　馬場の四分どころを３Ｆ３６秒９‐１１秒８。残り１Ｆ付近でやや外にもたれる様子を見せたが、鞍上が「ヘイ、ヘイ！」と声を出し前進を促すと鋭い反応を返した。プレブルは「（もたれたのは）単走だったため。それを除けばフォームも良かったし、とても満足」と大きくうなずく。陣営の想像にいい意味で反し、輸送や環境の変化による馬体減りがほとんどなかったことで、中１日で再度強めの調教が可能になった。ファウンズ師も「追い切り直後の様子も水曜との比較でかなりいい」と急上昇を感じ取る。

　両者の会見中に枠順が確定。(3)〜(8)番を希望していた陣営にとってドンピシャとも言える（３）枠(5)番に決まったと知らされた瞬間、指揮官は思わず拍手して喜んだ。主戦も「ここなら楽にいい位置を取れるね。道中は眠ったように追走して、勝負どころで目覚めてくれれば」と好位でロスなく脚をためて、直線で抜け出すシーンを思い描く。

　ファウンズ厩舎はこれまで４頭を来日させ、ＪＲＡのレースを９戦。２着（２回）が最高とＶには手が届いていない。だが、悔しさを味わった分だけ日本競馬の攻略に対するノウハウは豊富だ。「いつも惜しいところまできている。今度こそ勝ちたいね」。鮮やかな変わり身と絶好枠を得て、トレーナーの表情には十分な手応えがにじんだ。