長友、愛媛で培った無限のスタミナ
2014年6月3日
井上監督は、そんな長友を毎晩のように食事に誘い「お前とサッカーがやりたいんや」と説き続けた。少しずつ長友の態度も変化し、2年生になると厳しい練習メニューにも率先して取り組むようになった。
名門・順大サッカー部出身の熱血漢の指導は、徹底的な走り込みが基本。毎日10~15キロを「佑都は鬼のように走っていました」と井上監督は懐かしそうに語る。
忘れられない思い出がある。ある日の練習でのこと。集中力に欠けるチームに業を煮やした井上監督は「お前ら走っとけ!」と怒鳴って職員室に戻った。
「2時間ほどたってグラウンドに戻ると、みんなへばって座り込んでいた。でもただ1人、佑都だけは走り続けていたんです。スポ根マンガの主人公みたいなヤツでした」
過酷なセリエAを戦い抜く長友の無尽蔵のスタミナは、この中学時代の猛烈な走り込みが土台となっている。
4年前のW杯。長友は井上監督に「日本に長友というおもろい選手がおるんを世界に見せてやるけん」と豪語して南アフリカに乗り込んだ。その言葉通り、カメルーン戦でサミュエル・エトーの動きを封じるなど“エースキラー”として大活躍した。
大会後、イタリア・セリエAのチェゼーナに移籍。現在は名門インテル・ミラノでプレーする教え子の飛躍ぶりに、井上監督は「笑っちゃいますね」と目を丸くする。
前回W杯のあと、地元・西条市で小学生のサッカー大会「長友カップ」が始まった。
昨年11月に行われた第3回大会には県内外から64チーム、約1000人が集結。参加選手には、長友からバッグやレガースなどのサッカー用具がプレゼントされてきた。
イタリアに渡っても故郷を忘れず、子どもたちに夢を与え続ける小さなサイドバック。大会後に井上監督が指導する中萩中サッカー部を訪問することも師弟で約束した。
2度目のW杯を前に長友は「目標は優勝」と公言し続けてきた。その強気な姿が「有言実行の佑都らしい」と井上監督。「世界一のサイドバックであることを証明してほしい。4年間積み上げてきたものを思い切り出して、日本のために暴れてほしいですね」。教え子の派手な凱旋を心待ちにしている。
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