松山、米ツアー活躍のカギは英会話向上
2014年1月21日
その短い日数でコースやグリーンの特徴をしっかりと把握して初日を迎えられるか。ハイレベルな戦いが繰り広げられる米ツアーでは初日から出遅れているようでは、まず優勝争いに絡めない。
そして、最も重要なカギを握るのが米ツアーの中で、いかに早く自分の居場所を見つけられるか。言い換えれば、ツアーの環境になじみ、トップ選手たちのコミュニティーの中に入っていけるかが大事になってくる。そのためには英会話のマスターは不可欠。いつまでも通訳に頼ってばかりいては輪の中に入っていくのは難しい。
日本ツアーで100勝以上挙げていた尾崎将司は、海外メジャーではなかなか力を発揮できず、「内弁慶」と呼ばれた。見かけとは違い、意外に細やかな神経の持ち主だったジャンボ。英語を話せないこともあって選手の中に入っていくことができなかった。海外の生活が肌に合わなかったことが活躍できない大きな理由だった。
一方、ライバルの青木功は日本人としては初の米ツアー優勝(1983年、ハワイアンオープン)を飾り、メジャーでも優勝争いを演じた。米シニアツアーでも通算9勝の活躍。小さなことにはこだわらない開けっぴろげな性格、片言の英語でも尻込みせずに選手に話しかけ、どんどん仲間を増やし、攻め方のアドバイスを受けることもあった。米ツアー3勝を挙げている丸山茂樹もしかり。陽気な性格で他の選手から好かれ、ツアーの中で自分の立ち位置をしっかりと確立した。
野球などの団体競技と違ってゴルフは個人競技。親しい選手を作っておけば、日々の練習も一緒にする機会が増えるだろうし、コースの外でも困った時には助けてもらえたりするものだ。しかし、自分の殻に閉じこもり、孤立するようなことになれば、知らず知らずのうちにストレスもたまり、プレーにも影響を与えかねない。
当初は心配された松山の英会話力も、若いだけあって吸収力は早い。昨年から何度も海外でプレーするうちに、徐々に聞き取れるようにはなってきているようだ。さらに会話力が高まれば、もっと米国での生活や日々のツアー生活も楽しめるようになるだろう。
ゴルフの技術を高めていくことはもちろん大切だが、それだけでは海外での成功はつかめない。一年でも長く米ツアーでプレーするためにもコミュニケーション能力を高め、他の選手から受け入れられるとともにファンからも愛される真のインターナショナルな選手を目指してほしい。
(デイリースポーツ・工藤直樹)